理解癖

他人及び他人の言説とか行動などを類型的に捉へて凡そ一面的に想定された世界構造における合理性を據り所とした分析の下にさうした事項の位置測定やら定義付けやらの諸々を進行させながらもその決定の意志に預め孕まれた偏向性には些の疑を挾むこともなく導き出された結論を惱みなく受容できる態度のこと。認識の初期段階においては自己存在の肯定など欲望の基本的セットから自我に寄せる過剰なまでの篤い信頼を軸として親近性に係る想像力が發動しがちなわけだけれども他方では解らなかつたり解りたくもない事項については構造内への嵌め込みの困難による苛立ちに伴つてバカとかアホウとかの表札の下に單純明快な二分法として辨別する解法となることもありコレが異質な他者に對する排除や攻撃の背景としてよく機能する。

ミ, ‘ _‘,リ <もしあなたが誰かの手足を縛り上げ、その人に「友よ、説明するのだ」と言つても、その人はせいぜい手足を縛られたくないといふことくらゐしか言へないだらう。欲望の唯一の自發性とはおそらくそんなものだ*1

*1:G.DELEUZE et C.PARNET:「DIALOGUES」より//邦譯:2008年,河出書房新社