西田酒造店

近頃、小田急線の経堂の驛には、急行電車がとまるやうになつた。便利になつたかといふと、まだ、實感はわかない。と、いふのが、正直なところか。各驛停車に聯絡してゐないので、結局、あひかはらず成城學園前まで乘り過ごして、歩いて歸ることのはうがおほい。

けふは、なんとなく経堂で下車した。南口の酒屋へゆくと、青森の銘酒「田酒 (デンシュ)」が賣られてゐたので、購入した。毎度のコトだが、おなじ藏の釀造酒「喜久泉 (キクイズミ)」とセットの販賣であつた(この藏では純米酒を「田酒」とよぶ)。暫し躊躇したが、去年は本釀造との合はせで呑んだので、今囘は吟釀にしてみた。
吟釀は、さらりとしてゐた。うまいです。本釀造は燗をつけると引き立つたが、これは冷のはうがよいだらう。これを、太くして米の香りを強調すると「田酒」のイメジにちかい。どちらも、捌けのよさが特徴となつてゐるやうだ。「田酒」ばかりが有名になつてしまつたが、かういふ輕やかな酒も捨てがたいものだとおもふ。

需要と供給のアンバランスさヵラみて、抱き合はせ販賣もやむなし。と、赦せる酒藏だ(「田酒」ファンは、「喜久泉」も呑むべし)。