寫眞集「See you again」感想。

  • 裏表紙(カヴァ本體共)の崩れた飛行機雲の脇に寫つてゐる光點をずつと晝間の月だとおもつてゐたのだけれど、他の類似カットと比較してみたら逆光でレンズのゴーストが出てゐるだけだといふのがわかつた。なあんだちよつと浪漫的にかんがへ過ぎだつたよ。
  • スタヂオで撮影したらしい白パーカーのシリーズは何かのCMのカットみたいだね。髮を弄りながら胡坐を掻いてゐる横向きのショットが達磨みたいで可愛い。白バックに白い服といふのが無垢な心を表現してゐるのだとおもふ。
  • 夏といふことで水着のシーンが多いわけだけれども、種々のビキニで頑張つてくれたのに申し譯ないが紺野さんはセクシー擔當ではないなとおもふ。「體」を意識(つまりまうオトナなんですよといふ表現だな。好惡はべつとしても女性を被寫體とした寫眞集での紋切型)して近接で撮影されたものが多かつたけれど、そのぶん脚の線がフレームアウトしてしまつてゐるものばかりでその點が惜しい。つまり親密な感じにはなるが實體として捉へるのが難しくなるといふこと。
  • 半面、バストアップの肖像寫眞に秀逸なものが多いと感じる。やはり紺野さんは眼と頬の表情にチャームポイントがあるとおもふ。對峙する者に内省を誘ふ部分。カヴァ下の黒バックの表紙と同じシーンでの黒いスヱーターを脱いで手に持つてゐる、奥付けのひとつ前のページをベストとしたい。こゝでは、スヱーターを持つた腕の付き出した肘や、まだ硬い表情のなかに微かに顯れた額や口角の笑顏の預兆に、彼女の前途の明るい可能性を見い出すことができるとおもふ。

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