街路樹のこと。

ハナミズキが滿開。ひとむかし前に讀んだ「成城だより*1」だつたかいふ本にも書かれてゐたが、近處にはこの木を植ゑた街路がおほい。
その本で書かれてゐた趣旨は「庭木にも流行り廃りがある」といふものであつたと記憶するが、だとすれば、この木はうまいこと生き殘れた部類なのだらう。さもなくば、景気が惡くなつたので、植木を替へてゐる場合ではなくなつたのか?
さて、そのミズキであるが、櫻やツヽジと違つて滿開でも樹形の全體を被つたりはしない。ポツポツとついた白い花は遠くからながめると、高尾山からみた八王子の夜景*2に似てゐるとおもふ。地上から數百㍍離れただけなのに、夜の山頂はさびしい。さういつたヒヤリとした感じがこの花にはある。

*1:成城だより : 書名/著者などは明日以後調べて付記します。いつも初稿はウロ覺えで書いてゐます。
 …で、調べました。書名はこれでいゝやうです。ⅠかⅡのどちらかですが、そこまでは想ひ出せません。著者は大岡昇平。昭和55〜61年頃に書かれたものらしいです。讀んだのは昭和62年以降だけれど、まだ平成になる前でした(作家存命中だつたとおもふ)。
 當時、深夜の古本屋で毎晩酔つた勢ひで本を買つて歸つてゐました。この時期、無意味に多讀(もしくはアル中)だつたので、個々の本についての判別がしづらいです。

*2:山の上ヵラ眺めた街の燈 : 藻岩山からみた札幌の夜景など、言ひ換へは可能です。