雜談。

コトバの流通において、原義が忘れられてしまふ例は多い。「メルツ」に因んでモダニズムから例を引いて來ると、喩へば「新造形主義(Neoplasticism)」のコンポジションを一種のデザイン・パターンと見倣し、それを「モンドリアン」といふ名稱でもつて呼び倣はす習慣がいつの間にか定着してゐるといふのがある。
ピェト・モンドリアァン自身は構成に不純さもたらす要素を持ち込むのを厭つてゐたから、ファッション・デザインなどのなかに「柄」として取り入れられ、ドレープによつて「直線」を歪められてしまふのは本來なら赦さなかつただらう。
なによりも「新造形主義」は思想なのであつて、その視覺化された形態が、かの「『赤・黄・青』の三原色と無彩色による、直線と矩形の構成」なのだ。
この思想の正統的な後繼としてではなく、單なるデザイン・パターンとして捉へて「モンドリアン」などと呼んでしまふのは皮肉なものだとおもふ。


新造形主義の藝術家には他にテオ・ファン・ドゥースブルフなどがゐる。*1

*1:新造形主義といへば「デ・スティル(De Stjil)」に觸れなければならないのだけれど、それはまたいつの日にか...
 ところで、ドゥースブルフはシュビッタースと繋がつてゐたりするんですよ。ダダの集會でね。
 合言葉はダダだ!