日記。

最終のバスが出た後、寺社の敷地に面した道を家路へと歩く。いくつもの銀杏の實が落ちてゐるのをみて、晩酌の肴にと少し拾ふ。チリ紙とポリ袋を常に携帶してゐると、こんなときに役に立つ。靴底で轉がすやうにして臭氣の強い果肉を剥がすのだけれど、核の殻が濕つてゐて意外に軟らかいので、それが割れてしまはないやうに力の入れ具合ひに注意する。境内からは枯葉の上にボテボテと更に實が落ちる音がときどき聞こえて來る。