「の川*1」の岸沿ひに輪行路を溯つて行くと、人見街道を越えて東八道路を見上げる邊りで舗裝が途切れ「どんづまり」な雰圍氣となる。左岸の坂を登ると川を臨んで砂利を敷きつめた駐車場があり、ふつうの民家を改裝しただけみたいな趣の、花に圍まれたちいさな蕎麥屋の前に出る。この店は、私たちが住まふ惑星から名を採つて屋號としてゐて、蕎麥通の間ではちよつと知られた存在といふことになつてゐる。ちなみに吉田戦車氏も著書のなかに取り上げてゐる。この店も營業時間が短くて、晝の前後のみ‐2時前くらゐには終賣してしまふのだといふことで、世田谷區内に住んでゐた頃に家から徒歩で訪れたりしてゐたときには當然のごとく晝には到着できず、いちども食べたことがなかつた。一昨年から多摩地域の住人となつたので(氣分的なものかもしれないけれど)野川流域はわりあひに近所といふ感じになつた*2。今日は念願叶つて暖簾を潜ることができた。

*1:「野川」のこと。御役所が建てたブルーの河川名表示板ではなぜだか平假名の「の」となつてゐる。

*2:自轉車の機動力が絶大だといふのもある。