TRACK1

デビューシングル曲(=TRACK3)とオケを打ち込んだプログラマが同一人物と云ふことで、わりと似通つた雰圍氣となつている*1。なんとなく斯うした押しの強いダンサブルなナンバーこそがガッタス「らしい」といふ氣がしてしまふのは、最初(※デビュー曲)の印象があまりに強烈だつたからなのかもしれない。アルバム初曲がストレートに同種の路線だつたのは概ね期待どほりだつたと云へるだらう。まあ、攫みはバッチリといつたところか*2。比較的にこちらのTRACK1の方が歌パートの受け渡しのバランスが良いといふ氣がするのは、シングル收録以後アルバム制作までの間にグループとしての安定感が出て來たといふことなのだと想像する。戀の始まる預感を歌つた「…BELL」に對して、こちらでは何故かいきなり終幕を迎へてたりするのだが、哀しみを湛へた歌詞を逆に斯うやつてグイグイと勢ひ良く引張るといふのもなかなかに面白い。ドラムパートには低域を膨らませるイコライジングが施してあり、重たく響くスネア音によるビートは、恰も心に抱いた涙の重さをその餘韻のなかに忍ばせているかのやうでもある。ところで、チラと現れる仙石先生の短いソロパートに、稍々場違ひな程の慈愛に滿ちた優しいニュアンスがあつて、そこに妙に惹き付けられる感覺がある。今迄の早安系には無かつたタイプの聲質だと思ふ。ユニゾン部分においてブレンドされたときにも聲樂部の全體に對して柔らかさをもたらす効果を發揮しているやうに感じる。このひとは音ガタのアンサンブルにおけるキーパースンなのではないか -と、なんとなくさういふ氣がする。

*1:その他、どちらの樂曲にもワウを齟ませた速度感のあるカッティングギターと、黒ぽい(裏聲ぽい?)男性コーラスがフューチュアされてるところも共通した點で、なんとなくスポーティな雰圍氣が釀されているといふ印象。

*2:少しばかり難を言ふなら、曲の前後に添へられた哀調の漾ふピアノのフレーズが取つて付けたやうで、些とやり過ぎかな -といふ氣がしないでもない。…まあ、そんなのは單に好みの問題でしかないのだけれど。