日記。

調布から京王の準特急。中央線の界隈*1へ出るには、新宿まで出て西方に折り返しても、明大前乘り替へで吉祥寺經由にしても、大した違ひはない*2。どちらにしても妙なジグザグをたどるので矢鱈と遠い道程となる。
進行方向左側の車窗に「タイヤ公園」だの、仙川の橋を越へた先の「高層アパート」だの、まだ義務教育を受けてゐた頃に自轉車でよく走り囘つてゐた「腦内に地圖として収められてゐる地域」を眺める。その「地圖」によれば「タイヤ公園」は西の外れの邊境だ。
馴染み深い街竝をずんずんと過ぎて行く。「環八」を跨ぐ高架に差し掛かると、犬蓼の紅い花で覆はれた空き地をふたつほどみつけた。この邊の植生についての記憶の絲が一氣にほどけて來る。
通過する高架驛から以前はみることの出來た特徴的な建築物が毀されてしまつてゐた。あれは慥か保險會社の社員寮か何かだつた。コンクリートと鐵の張り出したテラスの奧が一面にガラス窗で覆はれた階層を積み上げた構造で、廣い緑の芝地に圍はれた優美な建物だつた。惜しいことをしたとおもふが、形あるものゝ運命なんてそんなものだ。時の流れには逆らへやしない。驛から徒歩3分の良好な立地条件、跡地にはマンションでも建てるのか?

…偖て現場に着いて、今囘はリハーサルをちやんとやつた。このところ連續してサボつてゐたのだけれど、たまには眞面目にしなきやね。長くなつたので、本番のステージのはなしは省略。
(※10/18,記)

*1:中央線界隈 : こゝでは、アングラミュージシャンにとつて利用頻度の高いライヴハウスや貸スタヂオが集中する"中野~荻窪の邊り"を指す。

*2:「中央線ディープゾーン(笑)」までの距離感 : 乘り替へ囘數の少ない新宿囘りの方が若干早いみたいだ。