日記。

ズミタール*1だとおもつて買つたジャンク品のレンズが、實はズマール*2だつたり。故障の程度を判定するのに氣をとられてゐて、鏡筒正面に刻まれてゐる銘をよく讀んでゐなかつたよ。これも使つてみたかつたレンズだつたから好いのだけれど、些と頭のネヂが弛んでボーッとしてゐたみたいだ。
持ち歸つてさつそく分解してみると、預想どほりグリースと埃の混合物が固まつて動かなくなつてゐるだけだつたので、檸檬油でこれを溶解除去して動作を滑らかにした。偖て次は「拭き」で、アルコールで表面の曇り(※氣化して付着した油膜等)を拭ひ去る。第一群の硝子面に稍々目立つ傷があるが、中心を外してゐるので大丈夫と信じたい。第二群の凹レンズの形状は非常にきついカーヴを持つてゐて、横からみると眞空管の頭みたいに深いU字になつてゐる。これを硝子の塊から削り出すのはすごくたいへんだつたらうとおもつて密かに感動した。オートボーイ2*3の後群も似たやうなキャノピー風の造りだつたけれど、あれはプラスチック製だつたから手間はぜんぜん違ふだらうな...
一應、完全動作品となつた。安い買物だつたとおもふ。Ⅲa型のバルナックに付けて明日から使ふつもり。

*1:Summitar : Leitz社の寫眞撮影用レンズ(※5cm/f2)。

*2:Summar : 同上。

*3:Auto-boy 2 : Canon製の電子制御式全自動カメラ。内臟モーターの巻上げ音がものすごくデカイのが特徴。