日誌。

新宿驛南口は正面にある甲州街道鐵道跨線橋が改修中のために、現況では歩道に視覺障碍者用の點字ブロックが廣い範圍で設置されてゐない。こゝは待ち合はせの有數なスポットでもあるために通路の到るところが立ち止まつたひとたちによつて塞がれてしまつてをり、視覺に頼らずに進行すればかならず衝突(接觸)事故が發生するといふことになる。さうした現場にゐあはせてしまつたのでつい手援けを申し出てしまつたのだが、これはやはり出過ぎたことだつたやうな氣がして後悔してゐる。ちよつと道を尋ねられてそれに答へた時のやうにすぐ忘れてしまふべきことを、一大イヴェントを濟ませたかの如く記憶してゐること自體が「AC」のコマーシャル染みてゐて「おれはダメ人間だな」といふ感じがする。…まあさういふ個人の心の葛藤はべつとして−こんなバリアだらけの世のなかだけれども、このひとがこれからも無事であつてほしい−と、伴走(伴歩?)しながらおもつたのもまた事實。*1

*1:一應、啓蒙のために餘計なことを書いておくけれども、視覺障碍者の歩行の援けをする場合には次の點に留意しなければなりません。

 [1]杖を持つてゐる手の側に立つてはいけません。
 [2]空いてゐる側の手で引導者の腕か肩につかまつて貰ひます(※逆に歩行の主體者の腕などをつかまへてしまふのでは、その自由な動きを拘束してしまふので危險です)。
 [3]歩速を合はせること。そして進行方向および周圍の状況を簡潔にわかりやすく説明しながら移動すること。