ちよつと大きなムカデが浴室の壁を這つてゐるのをみつけて卒倒しさうになつた。まあこの住宅團地は河の大きい彎曲の内側に廣がる濕地を排水して造成した土地に建つてゐるのだから、かうしたジメジメした環境を好む蟲が這ひ出して來たところでそんなに驚いてゐてはいけないのかもしれないのだけれど。さう、そのとほりこゝは確かに堤防の内側なんだよなあ...*1

*1:「どうしたのです?だいじやうぶですか、エルケ・フォルケルツさん」
「大きな聲を出してしまつてごめんなさい。こんなに大きな蚣をみたのは初めてなものですから... えゝご心配なく。もうだいじやうぶですよ、ハウケ・ハイエンさん」
(※以下略)