ケセラセラ♪

下校途中の近處の小学生が他の仲間との別れぎはに、この一節をうたつてゐた。
梅雨のはしりの雨。蒼みを帶びたやはらかいひかりのなかで、風景のあらゆる表面がニスで塗られたやうにてらてらとした耀きに包まれてゐる。紫陽花の花が知らぬ間にずゐぶんと大きくなつてゐるのに、ふと氣がついた。まだどの花も蕚は緑一色でどんないろになるのか區別はつかない。けれども、町内の庭々に植ゑられたそれぞれの株が、青くなるのか赤くなるのか、ほゞ私にはわかつてゐる。ひとつの土地にながくゐ續けるといふのは、さういふコトだ。
この場處で實際の花のいろをみるまへに、引越しを終へてしまふだらう。
あたらしいゐどころの周囲にも紫陽花は咲いてゐるだらうが。
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*1:以前にも似たやうなコトを書いたけれど。マァ、日々そんな心持ちがしてゐる、といふヮケです。