日記。

快晴。昨日の荒天から打つて變つて、まさに「颱風一過」のやうだ。本當に颱風だつたのかもしれないのだが、テレビもネットも疎遠になつてゐるのでニュースを知らない。よくわからない。
驛前まで出て買物をした歸りに水神の邊から河原に下りて月を眺めた。滿月なので、燈火のない河原でも本が讀めるくらゐに明るい(讀まないけど)。銀色の薄の穗が*1、まだ少し強く吹いてゐる風に戰いでゐてなかなか風情がある。月餠を齧りながら麥酒を飲んだ。
昨日の大雨で河は何時になく増水してゐる。初夏の頃に川チシャを摘んだ中洲は濁流の中に完全に沈んでしまつた。遠く分斷されてしまつた對岸は普段よりもよそよそしい佇まひで、あちら側が「他縣」であることを強く感じる。
「足を滑らせたら死ぬだらうな」とか「ダムに換算すると何個分の水が移動中なのか」など生産とは全く無關係な想念が過る。そんなものではなくて、かういふときには詩吟でもひと吠えするべきなのかもしれないが。
(※10/18,メモより復元)

*1:薄の穗が... : この邊の河原に生えてゐるのは「ススキ(薄 : Miscanthus sinensis)」ではなくて「オギ(荻 : Miscanthus sacchariflorus)」であるらしい。一般に「薄は山地性、荻は濕地性(※狛江市發行『月刊わっこ No.39』より)」なのださうです。